寒くなってきましたね。
今年は赤ん坊を抱っこしている時が多く、むしろ暖かく感じるような、、、
自分の子を育てて初めて分かることもあり、世の中の人達はこうして大きくなったと思うと
ちょっと価値観が変わりますな。スゴイ!
さて、今回はお手持ちのジュエリーを新しいデザインで作って欲しいとのご依頼だったのですが
なんと3点ものアイテムを頼んでくださりました。

お客様の婚約指輪に加え、お母様の婚約指輪も預けてくださりました。
思い出のつまった大事なジュエリーを受け取り、身の引き締まるような気持ちで制作に入りました。

この写真をパッと見ただけで地金が分かる方は本職の方でしょうか。
左はシルバー(銀92.5パーセント、銅7.5パーセント)で主に原型や試作を作ったりします。
中央はプラチナ(プラチナ90パーセント、パラジウム10パーセント)とっても高価で重たい金属です。
右はホワイトゴールド(金75パーセント、銀15パーセント、パラジウム10パーセント)で
重厚感のある色をしていて通常ロジウムメッキをかけてプラチナと同じ色にします。
ご依頼頂いたリングとペンダントはプラチナ、ネックレスはホワイトゴールドで制作いたしました。

地金で制作するときは一つ一つのパーツにどれくらいの地金の量が必要か考えておくと
ロスが少なくてコストも時間も短縮できます。

プラチナはバーナーで熱してもほとんど酸化しないのであらかじめみがいておくと
後々見えないところまできれいに仕上がります。

腕もサイズを出しておいて手が入りにくい部分は磨いておきます。
プラチナは磨きが大変だけど組み立ては割と楽です。

左右のダイヤのサイズが微妙に違うので
石がセッティングされた時に自然に見えるようにダイヤの位置を時間をかけて確認します。



3つの石がそれぞれお客様とお母様の大切な思い出であり
それらがひとつになるということはとてもすばらしいことだと感じました。

次はルビーをつかったペンダントです。
フクリン留めにするので枠を巻きます。

シンプルすぎるとさみしい感じがすると思ったので、
くるんと巻いた飾りをつけました。

チェーンを通すバチカンと巻いたパーツをつけます。
もちろんひとつづつ磨いてから組み立てます。


次にご紹介するネックレスと雰囲気が近くなるよう少しクラシカルな感じで作りました。
ルビーの周りなどを装飾している粒々はミルといって一粒づつタガネという道具を使って打ってゆきます。

最後の一点はネックレスです。
たくさんのパーツを使うので地金とりの時、どうするか考えこみました。
左の細いのが茎になり、真ん中が葉っぱ、右の板は巻いてパイプを作ります。

切って曲げて整形して求める形にしてゆきます。
指で持ちづらいような小さなパーツはヤットコというペンチのような道具で持ってヤスリます。
目的に応じて特殊な形のヤットコが増えてゆき、後で見てなんだこりゃという道具もあったりします。

ボールチェーンはロウ付けでなくジョイントパーツをつくりました。
古いダイヤモンドカッターでボールチェーンと同じ大きさの矢坊主を作り雄型にしました。

ボールチェーンの端の球をかしめてしっかりジョイントしつつ動きも良くなるように
ぴったりのパーツにします。これが一番苦労したような、、、

石座は二段の大きさの違うパイプになっています。
手が入らなくなる面はペーパーで磨きます。
机の上に400、2000、8000、15000番の紙やすりを置いてササッササササッと磨いておきます。
数が多いと指紋も一緒に削れて行きます。

ピンセットで保持しつつロウ付けして石座を組み立てます。
3本爪はバランスむずい。

葉っぱもバランスをみながら組み立ててゆきます。
茎の部分はミルを打つのであらかじめ山の形に整形しておきます。

どんどんロウ付けして組み立ててゆきます。
70箇所くらいロウ付けしてようやく組みあがりました。
チェーンの金具付近の丸カンだけ安全の為閉じていません。
なにかに引っかかってしまった場合ここが開いて外れるようになっています。

小さな石は彫留、大きな石は爪留めです。
黒いのは松脂(まつやに)でバーナーで暖めるとやわらかくなります。
タガネで彫ってもびくともしない石留めの必需品です。

ちょっと引いて見た作業風景です。
右下の方にある小さなトンカチでタガネを叩き、彫ったりします。
トントントンと打ってはルーペで時々確認し、正確にできているかのぞきます。
鋳造や機械でつくられるすばらしい商品も多いですが
地金を手作業で加工してゆくのが一番品のある仕上がりになる気がいたします。
